ありふれた恋でいいから
――だったら、取る手段はひとつしかない。


彼女に告白する。

そう決心した俺は、多分、これまでの人生で一番大胆に動いたと思う。


文化祭当日の朝。

普段通らない文系教室近くの渡り廊下で彼女が来るのを待ち伏せして。
文化祭のせいで空き教室が全部使用中だったからもうその場で言ってしまうという、計画も何も無い勢い任せの告白。

確実に形勢は不利だったけど、奇跡というのはこんな時に起きるものらしい。

俺の言葉に驚いた様に開いた漆黒の瞳も。
頷いてくれた時に恥ずかしそうに伏せた睫毛の長さも。
酷く綺麗で、凄く好きだと思った。

彼女を大切にしようと、思えたんだ。
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