ありふれた恋でいいから
ざっと400を超えるだろう合格者の名前。

気の遠くなる数だったけど、この中のどこかに須藤の名前があるのかもしれないと思うと。

一つたりとも見逃すわけにはいかないと自然に息が詰まる。

一緒に合格した大学の欄に俺と彼女の名前を確かめ、えもいわれぬ空しさに襲われながらも先へ先へと意識を走らせる俺の目に入ってきたのは。

「……え?」

俺が知りたかった全て。




“T女子大家政学部 須藤実乃”


図書館司書を目指していた彼女の進学先が文学部ではないという、事実だった。
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