龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。

詠芽の個人情報漁り(と書いて遊び)






「で、生徒会室に来た訳ですけども」

次の日の放課後。またナゴミは生徒会室に来た。今回は四葉に無理矢理連れて来られるのではなく、自分の意思で。

理不尽に巻き込まれたとはいえ、事件の結末は最後まで見届けたいものだ。

ところが、何故か見知らぬ人間がそこにはいた。

ヘッドホンを首に下げた少年が、ノートパソコンを開いて、四葉と何やら作業をしている。

中にパーカーを着用しているが、制服が中等部のもの。ということは、年上。

少年は入口でボーッと突っ立ったままのナゴミに気が付き、声をかけた。

「あ、僕の存在が気になってる?僕は中等部三年月組の、龍華寺 詠芽(りゅうげじ えめ)。龍華寺家の三男で、ヨツの三番目の兄貴。宜しくね」

ヨツというのは四葉のことらしい。

なるほど。兄妹か。ナゴミは納得した。

確かに詠芽は、四葉によく似た中性的な顔立ちをしている。

特に、蛇を思わせるキリッとした目元がそっくりだ。詠芽の方は眠そうに少し伏せてるけど、兄妹だと言われれば普通に頷ける。

「ナゴミちゃんだよね?ちょっと君たちの仕事のお手伝いしに来たんだよ」

「お手伝い?」

< 29 / 99 >

この作品をシェア

pagetop