龍華寺 四葉と書いて、救世主と読め。

「てゆーかさ、生徒会長特権でどうにもなんないー?アタシ調理実習自体めんどいー」

「無茶言うな、鷹嘴。私は王様じゃない」

「あっははー、やっぱ無理系ー?」

ケラケラ笑いつつも、鷹嘴と呼ばれた少女は楽しそうにコンロの火を確認しに行った。

「ねぇ、クロちゃん。あの二人、誰だっけ……」

「え?この前名簿見せただろ?」

「クロちゃんと違って記憶力良い方じゃないし、まだ五月上旬だから名前と顔がまだ一致してないんだよ……」

「しょーがないな、ナゴは」

四葉は本人に失礼にならないようにこっそり指差しで教えた。

「白いエプロンのゆるふわ系が栃本 遥加(とちもと はるか)。所属は手芸部、ちょっと呑気でどんくさいとこあるけど、憎めない感じの人」

遥加はとろんとしたタレ目と、はにかんだような口元が可愛らしい大人しい女の子。

手つきの一つ一つがスローモーションのように遅いが丁寧で、特別大人っぽい訳では無いが小六には見えにくい。

「迷彩柄のエプロンの奴が、鷹嘴 リン(たかのはし りん)。本人はギャル系のつもりだけど、どう見ても田舎から出てきたヤンキーに見える」

確かに髪の毛先が金髪に近い茶髪で、根元の方が黒髪というプリン頭でキリッとつった目が近寄り難さを醸し出してる。

「せめてゆるふわ系ドジっ娘と派手目の女子って言いなよ!」

どうにも刺があるように聞こえる。

二人の事が嫌いなのか?
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