“毒”から始まる恋もある

食べたり飲んだりが好きだと言っていた。

だからいろんな店に行きたがることに疑問は持っていなかったけれど、もし、サダくんが【居酒屋王国】に情報をリークしているのだとしたら話は別だ。

新しい店を探すのは、デートを兼ねたリサーチということになる。
つまりは私も体よく利用されてるってことで、それはかなり面白くない。

でも、運送業の営業である彼がそれをするメリットは何?
謝礼金を貰うとかそういうこと?


思考がどんどん深みにハマっているのに気づいて、頬を叩く。

落ち着け、史恵。
よく考えるのよ。

仮に彼が情報リークをしていたとしても、私はそれらの店の社員なわけじゃない。
利己的に考えれば、私にとってのデメリットはそこじゃないんだ。


私が決断しなきゃいけないのは、サダくん個人との付き合い方だ。

彼との約束に、私は前ほど浮かれていない。
疑惑一つでとは思うけど、一度芽生えた不信の芽はすくすくと育ち絡みつき、恋愛感情を覆い尽くそうとしてる。

もし疑惑が晴れたとしたら、私はまた前みたいにサダくんを好きだと思えるのかな。

でもそれって、本当の恋なの?

本当に好きなら、今私は、彼を疑ったりするかしら。


頬杖をつき、ため息を一つ吐く。


自信がないのは、自分の気持ちのほうだ。


< 110 / 177 >

この作品をシェア

pagetop