あなたを待っている
“ひろくん。謝らないで…。ただ…お願いがあるの。私が…私が次の恋愛をするまで新しい彼女を作らないでほしいの。お願い…。ちゃんと恋愛できたら必ず連絡するから。”

別れ際に間違いなく、ひろくんを苦しめるはずの言葉を残して私は、あのマンションを出た。

まさか、ひろくんが私との約束を守っているとは思わなかった…。

『ねぇ、約束って?』

大垣くんの問いかけに私は、別れ際にひろくんに言った言葉を伝えた。

『そっか…。たなくん、千鶴ちゃんとの約束があるから、由希美ちゃんに告白しないんだな。』

『大垣くん。私ね、彼氏からプロポーズされてるの…。』

『そうなんだ。おめでとう。』

『でも、返事してないの。』

『じゃ結婚しないの?』

『………。』

大垣くんの言葉に、すぐには返事ができなかった。

『ううん…。結婚しようと思う。』

『そっか…。』

『大垣くん。連絡ありがとう。近いうちに、ひろくんに連絡するね。』

そう言って電話を切った。
< 46 / 76 >

この作品をシェア

pagetop