願う場所、望む奇跡
「それ以上はやめといた方がいいと思うけど」
そう言って彼女を止めたのは、南高の制服を着た男の子だった。
初めて見る顔。
だけど、誰かと似ているような気がする。
「あ……林くん……っ」
彼女は、その男の子を見るなり青ざめた。
どうしてだろうと不思議に思っていると、誰かに肩をぐいっと引かれた。
「夏希はこっち」
「えっ?」
聞き慣れた声がしたかと思ったら、私の肩を引いたのは義哉だった。
「義哉くん……」
彼女も義哉の存在に気づき、顔面蒼白で唇は震えている。
それも当たり前のことか。
好きな人にこんなところを見られちゃったんだもんね。
「あの、これは……違うの」
何が違うと言うのだろう。
それに、さっきまでの威勢はどこへ行った。
好きな人の前では、こうも大人しくなるのか。