願う場所、望む奇跡



「それ以上はやめといた方がいいと思うけど」



そう言って彼女を止めたのは、南高の制服を着た男の子だった。

初めて見る顔。

だけど、誰かと似ているような気がする。



「あ……林くん……っ」



彼女は、その男の子を見るなり青ざめた。

どうしてだろうと不思議に思っていると、誰かに肩をぐいっと引かれた。



「夏希はこっち」


「えっ?」



聞き慣れた声がしたかと思ったら、私の肩を引いたのは義哉だった。



「義哉くん……」



彼女も義哉の存在に気づき、顔面蒼白で唇は震えている。

それも当たり前のことか。

好きな人にこんなところを見られちゃったんだもんね。



「あの、これは……違うの」



何が違うと言うのだろう。

それに、さっきまでの威勢はどこへ行った。

好きな人の前では、こうも大人しくなるのか。




< 33 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop