螺旋上の赤
ヤツだ。
のんびりと川辺を見ながら歩いてきてやがる。
ここで会ったが百年目。
胸ぐら掴んで、文句言ってやらなきゃ。

ペダルに最後の力をのせて、全力で登りきる。

プレイボーイ容疑者はまだこっちに気付いていない。

今だっ!

ガシャン!

自転車を歩道に乗り捨て、猛然とダッシュ。

「ん?」

ガシッ!

自転車が倒れた音に何事かとヤツが正面を向いた。
と、同時にガッチリ胸ぐらを掴んでやった。

ヤツは流石に驚いたのか、口をあけて呆然とこちらを見ている。

(さぁ、復讐の時はきた……!)
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