幽霊なキミ。
しかし。



「… 菩提薩婆訶 般若心経……

……なんでニコニコしてるのよ!」



お経を読み終わっても、彼はいた。




怒る私とは反対に、彼はニコニコとしながらあぐらをかいていた。





「やっぱりすごいねキミ!」




パチパチと拍手をする彼に



「拍手をしない!!」
 

と私は怒る。





最初こそ慌ててみた彼だったが、途中からなんでもないことに気づいて、あぐらをかいて楽しそうにこっちを向いていたのだった。
 


「あんたなんなの?最恐霊!?」



また彼は肩をすくめた。腹立つ。



「俺が教えて欲しいよ。ねぇなにちゃん?」




「私は遠藤椿ちゃんよ!あんたは!?」




彼は頭を抱え始めた。




そして呟くように言った。  


「……ナオト。多分。」




そして顔を上げると困ったように笑った。


「それ以外は、思い出せないや。」




その笑顔は、とても懐かしいような気がした。
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