SAKURA ~sincerity~
 夜の街を静かに車は走り、四人が通っていた高校の前で停まった。

「俺たちは……ここで待ってる。後は二人で……」

 ドアを開け、準平が言うと、拓人は桜をしっかりと抱き締め、準平に手伝ってもらいながらゆっくり車を降りた。

「桜」七海が乱れたウィッグを直す。

「ありがとう」

 弱々しいが、しっかりとした視線で桜が七海を見る。七海は精一杯の笑みを見せ、桜の前髪を指で整えた。

「綺麗だよ、桜」

「ありがとう」

 七海が拓人を見る。拓人はうなずくとそのままゆっくり二人の元を離れ、あの桜がある校庭へと向かった。
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