私の彼氏さま!!
「返事は今すぐじゃなくていいよ。
汐音の中で答えが出るまで、
ずっと待ってるから。
ゆっくり考えてきて」
「…わかった」
『ずっと待ってるから』
そう言ってくれた人が他にももう1人いた。
「ほんと、返事はいつでもいいから。
じゃあ…俺は帰るな」
「ちょっと待って!」
ぴたりと足を止めて振り向く彼。
「その…あの人が妊娠したって本当?」
「え…?」
戸惑いを隠せてない秋くんに、更に言う。
「秋くんとの子供だって言ってた」
すると暫し考えてから彼はほんの少しわらった。
「違うよ。
あいつは最初から妊娠してた」
あいつ、男いるらしいし。
と付け加えた秋くん。
「…わかった、引き止めてごめんね」
「全然。じゃあ…またな」
鞄を持って図書館を出てしまった秋くん。
図書室に残ったのは私と静寂だけ。
「…」
秋くんと夕樹くん。
2人が言った『ずっと待ってる』の言葉が頭から離れようとしない。
「私は、どうすれば…」
秋くんは好き。
あんな事があっても、未だに好きなんだ。
夕樹くんも、好き。
辛い時、苦しい時、傍にいて支えてくれた。
「分らない…
私が『本当に好き』なのは、
どっちなの…?」
その呟きだけが静かな図書室に響いた。