エチュード ~即興家族(アドリブファミリー)~
「何」
「秀一郎に・・あの子とどんな話、したの」
「あーっと、“僕のドナーになってくれたの?”と秀に聞かれて、“ああ”と答えてー。んで、“善さんって、僕のお父さんですか”って急に丁寧語で聞かれてー・・・。俺・・嘘はつきたくなかったから、“そうだよ”って答えて。後は、秀が病気になるまで、秀という息子がいることを俺も知らなかったってことと、そういう風にしたのは、アキちゃんだけのせいじゃないってこととか・・。アキちゃんとの約束を破ったことは、マジで悪いと思ってる」
「ううん。それはもういいの。ずっと言わなかった私が悪いから」
「いやぁ。これは誰が悪いとかそういうことじゃないだろ」
「う、ん・・・。で、秀一郎は?」
「あっちのリビングにいるよ」
「それは分かってる・・・」
「俺が父親だと分かっても、別に怒ったり引いたりせず、“あ、そう”って感じで淡々と事実を受け止めてる。普段どおり、みたいな?それに俺のこと、まだ“善さん”って呼んでるし」
「そう」
「ほらアキちゃん。ここで立ち話し続けるのも何だから、リビング行こ。あいつはアキちゃんに対しても怒ってないから」と善は言うと、私の手を繋いで、リビングへ案内してくれた。

< 115 / 183 >

この作品をシェア

pagetop