エチュード ~即興家族(アドリブファミリー)~
過去、善とつき合った3ヶ月の間、特に大きなもめ事もなく、ひどい口喧嘩もしなかった。
可もなく不可もなく、といった感じだったけど、それに対して私は不満もなかった。
恋愛ってそういうものだと思っていた。
別れはあっけなくやって来たものの、とても穏やかな3ヶ月だったと思う。

善と別れてから、私は誰とも深いおつき合いをしなかった。
別に女を捨てたわけじゃないし、プライベートを犠牲にしたなんて、微塵にも思っていない。
ただ、恋愛をするより、秀一郎を育てることの方が私にとっては大事だったから、母親という部分を全開にしていた。

それでも2回だけ、ある男性と晩ごはんを食べに行ったことがある。
誰ともおつき合いをしようとしない私に、逆に恋愛をしろと勧めていた両親は、その「デート」を喜んでいたけど・・・。
結局、それ以上の進展はなかった、というより、私の方がそれ以上の進展を望まなくて。
その人とは、それっきり会うことはなかった。

< 178 / 183 >

この作品をシェア

pagetop