エチュード ~即興家族(アドリブファミリー)~
「どうやらホントに善の“知り合い”だったんだな。武田さんはおまえに話があるって、わざわざ事務所(ここ)まで乗り込んで来たんだぞ」
「え。俺・・すか」
「おまえの他に誰がいるんだよ」
「それより、そこの彼女は座った方がいいかも」
「あ・・・・・は、ぃ・・・」

アユムの提案に、消え入るように返事をした私の方へ、「アキちゃん!?」と言いながら、善が駆けよってくる。
でも、さっきまで座っていたソファへ、そのままストンと落ちるように腰かけた私の方が早かった。

だけど、善は私の二の腕に優しく手を添えながら、しっかり私の顔を見て、「大丈夫か」と聞いてきた。

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