一ノ瀬さん家の家庭事情。
home:9
「あー、なんか緊張してきた!」

「なんで愛が緊張してんだよ、緊張するのは律兄の彼女だろ!」

それはそうだけど、でも!

だってあのりっちゃんの彼女だよ?

どんな人なんだろう…

テーブルの上にはあたしが朝から張り切って作った料理たち。

りっちゃんの好きなものばかり。

フルーツタルトもうまく焼けたと思うし、サラダも綺麗に盛りつけられてた。

「ただいまー!」

きっ、きた!

あたしも真兄も優兄も、一斉に玄関に飛び出す。

相変わらずのマイペース、玲さんだけがそれを呆れたように見てる。

「おじゃまします!」

可愛らしい、まるで鈴のなるような声。

かっ、かっ、かわいいいいいい!!

りっちゃんの後ろからひょっこり顔をのぞかせたのは、ものすっごく可愛い人。

「えっとだな、俺の彼女の…」

「綾瀬ひなのと申します。今日はお、お招きいただいて、ありがとうございますしゅ…あっ…」
< 127 / 251 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop