一ノ瀬さん家の家庭事情。
「じゃあさ、愛も聡太もまずはクラスのに参加して、少ししたら二人で抜け出すっていうのは?どうせパーティーやるの、駅前のカラオケとかでしょ?」

ほのちゃんが楽しそうに言う。

「…じゃ、じゃあそれでいい?」

浅丘君が、少し顔を赤くしてあたしを見た。

ねえ、浅丘君。

そんな顔されたら、あたしバカだから、単純だから、期待しちゃうんだよ。

もしかして、ほんの一ミリの可能性で浅丘君もあたしと同じ気持ちでいてくれてるのかなって。

「う、うん…」

あたしが頷くと同時にチャイムがなって、またいつもどおりに授業が始まった。

だけどあたしは全く集中できない。

先生の声も耳から通りぬけ、、黒板の文字も目に入らない。

だってクリスマスイブに好きな人と一緒にツリー見に行けるなんて、夢みたいなんだもん!

どうしよう、今からものすごく緊張しちゃう。

それはクリスマスイブの一週間前の出来事。
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