一ノ瀬さん家の家庭事情。
home:6
「じゃあ、行ってきます。」

「愛と玲、俺がいなくても寂しがって泣くなよ?」

今日から二年生は北海道へ3泊4日の修学旅行。

「泣かないし。」

「泣きませーんだ!」

朝から相変わらずの悪魔っぷりを発揮する真兄ともしばらくおさらば。

「優、真、楽しんでこいよ!」

最近では珍しく、あたしたちと同じくらいに起きてきたりっちゃん。

「じゃあね、愛、玲。」

優兄がそう言うから、なんだか少し泣きそうになっちゃった。

バタン、と扉が閉まると、急に家の中がシーンとなった気がする。

「じゃあ俺はもう一回寝るから、ちゃんと学校行くんだぞ。」

大きなあくびをしながら、りっちゃんは二階に上がっていってしまった。

玲はあたしを一瞥すると、さっさとリビングの中に入っていってしまう。

実はこの前のあの事件から、玲とはなんとなく気まずいまま。

それに最近の玲はなんだか変。

いつも無表情で、わかりにくいけど何か考えこんでいるみたい。


< 64 / 251 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop