紅桜の散る頃に。
うわ....まずい....

「か、かなくんはどうするっ?」

「ん、あぁ、うーん、今日ってみっちゃんの家行ってもいい?おばさんにも挨拶したいし」

えぇ!!!!そんな急に言われても....でもよく考えたら断る理由なんてないよねー....

「あー、うん。いいよ、大丈夫」

「ありがとう」

「え、俺は?」

「えー?蛍も来るのー?」

「ヤなのかよー」

ぶーっとほっぺを膨らませて蛍が拗ねた振りをした。

「わかったわよ、来ればいいじゃない」

「いぇーい、」

蛍は真顔でかなくんに向かってピースをして見せた。

それを見てかなくんはわなわなと震えて蛍を睨んだ。

どうしてこうなるの!!!!!

「蛍っ!!!」

蛍とかなくんの睨み合いの中に飛び込んで静止を図った。

「なんだよ、なんもしてねーじゃん....」

「放っておいたらするでしょうが、」

ぷくーっと膨れる蛍のほっぺをつねった。

「いててててっ!!!!なにすんだよっ」

「その顔ムカつく」

「素直にカッコいいって言えよ!!」

蛍が冗談混じりに言った。

「あー....お世辞にもカッコいいとは....」

「だまれデブ」

「それ禁句」

いつも通りの会話に少し浮かれてしまって完全にかなくんの事を忘れていた。

気付いた時にはもう遅くてかなくんは不機嫌そうな顔をして蛍を睨んでいた。
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