HALF MOON STORY
HALF



雨上がりの月曜日の朝


昨夜、パームビーチで飲んだお酒が


電車に揺られる私の脳味噌の中で飛び跳ねている。


なるべく頭痛が起こらないように


振動に合わせようとする私。


電車の窓から見える景色は、春に変わり始めていた。


様々な色に着飾った木々を眺める。


うん、綺麗


しばし痛みを忘れて見とれる。




彼と出逢ったのは、あの花が散った頃だったと思う



ハルと出逢って一年が経つんだ。


何だか彼と出逢ってから、季節の変わるのがとても


速くなった気がした。



彼は駆け出しのサクスフォン奏者


今日も多分、まだベットの上だ。



昨日は久しぶりの



パームビーチでの演奏だった。




そして今夜は、横浜のナイトクラブでの


ライブ



お昼から新幹線で移動と、昨夜一緒に


ご飯を食べた時に聞いた



今朝も彼から写真入りのメールが来てた。



ベットの上でゴロゴロする彼



仕方ないな



連絡してきたから許す。



幸せそうな顔が、可愛いかったしね



だって、私が用意したオニオンスープに


ご満悦だったんだもん。


写真に添えられたメッセージに


そう書いてあった



ちょっと幸せ



自分の作ったものが、あなたを幸せにしてるなんて


泣かせるじゃない


電車の中でそれを見た時、にやけそうになる自分を


抑えるのに必死だった。


こんな可愛い自分、あなたは多分知らないだろうけど



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