HALF MOON STORY
何とか音楽で、電車の中をやり過ごす。
こんな日はクラシックがピッタリくる
優しい声の曲
何曲か聴いていると、会社のある駅に着いた。
何人かの人と、電車を降りる
一歩、駅を出ると春の香りに包まれた。
頭上には青い空が広がっている
冬の朝と違って、この時間でも
辺りは眩しい光で溢れていた。
よし、悪くない
私は大きく息を吸い込み
今日も頑張ろうと歩き出した。
通勤する人が目につく街
シャッターを閉じた街を、人の波に乗って
歩く
コンビニの前を通った時、お店の入口に立っている
のぼりが目に入ってきた
暫く前に変わったのだ
「春のパンまつり」
道の反対側にある女性用のブテイックの
お店の窓ガラスの張り紙も変わった
「SPRING SALE」
そうだよね、春だもんね
でも、今の私にとって、春はハルなのだ。
その言葉を目にするたび、ドキリとする自分がいる
そしてあなたを思い出す