HALF MOON STORY
会話を楽しみながら二人
散らかした物を片付ける
逢えなかった時間を
今度は会話で埋めつくす
その全てが愛しくて
大切だった
ワイングラスを洗う
テーブルの上を拭く
照明を落とす
そしてお店のドアを開ける
とうのむかしに
翌日になった店の外
外に出ると
まだ空気は冷たかった
その分星は綺麗で
三日月は天井で美しく輝いている
見上げて呼吸をすると
白い息で
月が霞んで見えた
さっきも尋ねたのだけど
もう一度ハルに尋ねてみる
「ハルは明日
東京に帰っちゃうんだよね」
帰るという言葉が
自然に口をついて出たことに
内心かなり抵抗があった
ハルは私の隣に並んで
月を見上げた
「そうだよ、明日の昼の
新幹線で戻る」
そう言って笑った
ちぇ、ばれてる
「さ、行こう
送っていくから」
そう言われて
大人しく、後ろをついて歩いた
車の中で会話しながら
心の中で
家の前でお別れしたら
また暫く逢えないことに
心の整理をし続ける
私は明日も仕事だ
休んで名古屋まで見送りに行きたい
行っちゃおうかな
でも、明日やらなきゃならない
仕事があった
こうして
なんとか彼と一緒に
少しでも長く過ごす方法を
考えていると
あっという間に
自分のアパートの前の駐車場に
着いてしまった
降りたくない
でも、降りなきゃね
笑顔を作って
お礼を言うと
車を出た
ハルも降りて
私の前に立った