Secret
高校に通う間は家を出ているけど、卒業と同時にまた家に戻る事になる。

それが今の生活を手に入れる為に両親と交わした約束だった。

地元を離れて生活する事を要求した私。

その要求を飲む代わりに、両親は高校卒業と同時に地元に戻ることを要求された。

だから、私が今の生活を送れるのは高校を卒業するまでの間。

あの頃は、望みを叶える事に必死で3年間でもいいと思った。

寧ろ、聖鈴の中等部で過ごした3年間を思えばそれは果てしなく長い年月に思えた。

だけど神代第一で過ごす時間は1日1日があっという間で……。

多少の焦りのようなものを感じる。

それでも、今の私に出来ることはただひとつ。

それは〝今、この時間を思う存分満喫する事〟だけ。

限られた時間。

きっとこの先、どんなに私が望んだとしてもこんな時間は手に入らない。

だから“今”を大切にしないといけない。

私は改めて心に誓った。
< 181 / 207 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop