勿忘草~君を想った3年間~
隣の席
次の日。

教室に行くと予想通り、長谷川空の周りには人だかりができていた。

「なになにー、この人の集まり?」

何も知らない、颯人が人だかりの方へと歩いていく。

「……。えっ。」

彼女を発見したのか、固まりながら目を輝かせていた。

「何?あの美人。……。」

俺も颯人に続いて教室に入ると、

「あっ、碧くん!おはよぉー!」


長谷川空が挨拶をしてくれた。

一斉に振り向く視線。
彼女は笑顔で俺を見つめている。

「おはよーー。」

そう、一言だけいい、隣に座った。
周りが俺と長谷川空の関係を知るため、質問をしようとした瞬間、

キーコンカーコン

朝のチャイムがなり
周りは、自分の席へと戻っていった。

ホームルームの間、ずっと颯人に話しかけられた。

『あの子とは、どういう関係なの?』

そればっか、聞いてくる。

俺は呆れたように、ただの友達だよ、と答えた。

長谷川空は、あれから黙ったまま、本を読んでいる。

何をしていても、美しいなと感じた。

そんなことを考えていたら、あっという間にホームルームが終った。

次の時間は、オリエンテーションの話らしい。

この学校では、3泊4日の旅行がある。


旅行場所は栃木県らしい。
けっこう楽しみなイベント行事でもあった。


「よし、授業始めるぞー!今回はオリエンテーションの話だ。みんな知ってると思うが、栃木県に旅行が決まった!っと言うことで、グループを決めてもらう!席順で決めるぞー!」

先生は黒板にグループを書いていった。

俺のグループは、2班だった。

メンバーは、俺、颯人、菜緒、風深。



そして、『長谷川空』だった。




「んじゃー、班長と副班を決めろー!」

先生の合図で、一斉にグループをつくり、話し合いを始める。

「んじゃー、班長決めますかー!!」

颯人が率先して、話し合いを始めてくれた。

「やりたいやつ、いない?いたら、手挙げて!」

手を挙げた人は、長谷川空。

そして、彼女の口から思いがけない言葉がでた。

「はーい、私、班長やるから、副班は、碧くん!決定!!」

……え?

なんで俺なの?

「ちょ、空ちゃんー、なんで碧なのさー。」

颯人は残念そうに、下を向く。

「んー、深い意味はないんどけど、楽しそうだなーと思って(笑)」

「そっか。じゃあ、碧はどうすんの?」

みんなの視線に、断ることもできず、

「んー。いいよー。」

そう、一言だけいい、寝る体制にはいった。

めんどくさいのは嫌いだし、こういう仕事は、颯人の方が似合ってると思う。

だけど、たまにはやってみようと思った。

それはきっと、君に微笑まれたからなんだろう。

三泊四日のオリエンテーション旅行。

この日を境に大きく物語が変わっていく………。









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