シークレットガール!【完】



はるるんは、双葉ちゃんと仲良くしているご様子。


よかったよかった。


気分は兄妹を心配する近所のおばさんだ。おほほほほ。


「ここのクラスは他のクラスより授業数も多く、進むのが早かったので、今日は免疫のところの復習をする。教科書の115ページを開け」


あら、奥さん。今日は復習だって。


しかも、免疫だって。


若干うろ覚えだったから、ちょうど良かったよ奥さん。


となりの鍵谷さんはもう授業モード。


きらり、彼女は眼鏡を光らした。


「………………」


さてさて。あたしも真面目にしようかね。


生物の先生は堀先生。


推定54才。


はげた頭がチャーミングなちっさいオジサンである。


「マクロファージは異物を細胞表面の化学物質との違いから認別して、それらを細胞内に取り込んで消化して取り除く働きである。その働きによって、炎症反応が出る。さらにマクロファージの働きは炎症反応のほかに、………………」


マクロファージ語りすぎですよ先生。


マクロファージ愛好家ですか。


「つまり、第2防御機構がさかんに働いているということがわかる。マクロファージが、…………」


うーん。なんか勉強する気分じゃない…。


いや。しなきゃいけないけども。


くるりくるり、シャーペンを回してみる。


ペン回しとか、上手く出来てみたいなぁ…なんちゃって。


「…………………」


ナキュラルキラー細胞、T細胞、B細胞、樹上細胞、キラーT細胞、ヘルパーT細胞、……。


飛び交う細胞ネームをボケーと聞いていると。








キーンコーンカーンコーン。






学校終了のチャイムがなる。


あらやだ。授業、聞いてなかったじゃん。


免疫の復習出来なかったし。


しゃあなし。


家でしますかね。確認テストの範囲だし、するのには変わりない。


室長の起立、礼の言葉に合わせて、動く。


「次は集会だから、出来るだけ早く移動しなさい」


堀先生はそう言い残して、教室を出た。


「みーちゃん、行こ?」


果奈がいつの間にかあたしの前にいて、可愛い笑顔を浮かべていた。


「うん」



冬休みはもう目の前。


校長先生の長いお話を乗り越えたら、もう冬休みだ。







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