未知の世界
施設前
少し雨が弱まってきたが、敷地内には大きな水溜まりができている。
人の気配はない。
施設の玄関へ佐藤先生と早川先生は向かい、鍵がかかっていることを確認。
施設周辺を一周する。
裏口の鍵も閉まってる。
窓の鍵も全て閉まっている。
どこにいるんだ?と、佐藤先生は、焦りを感じる。
すると先を歩く早川先生が、
「佐藤先生!!!!!
犬小屋の中にいます!」
慌てて駆け寄る佐藤先生。
そこにはうずくまったままのかなちゃんがいた。
声をかけても返事がない。
ピクリともしない。
とにかく出さないとと早川先生が手を伸ばす。
小屋の床を見ると、真っ赤な血。
「えっ?血?
佐藤先生、救急バッグをお願いします。」
佐藤先生は車に向かい、救急バッグを手にして、急いで犬小屋へ。
早川先生が両手を犬小屋に入れて、ゆっくりとかなちゃんの体を上げる。
思いのほかかなちゃんの体は軽くて、すんなりと犬小屋からかなちゃんを出すことができた。
早川先生がかなちゃんの体を出した瞬間、二人は驚愕した。
腹部に突き刺さる杭。
杭は錆びれている。
血は既に流れが遅くなってる。
乾いているところもある。
一刻を争う。
そのままかなちゃんに杭が刺さったまま、車の近くまで。
早川先生が、杭が動かないように固定しながら、佐藤先生が呼吸の確認。
微かながらに聞こえる息。
「かな!かな!」
佐藤先生の呼びかけに、反応はいまだにない。
脈を計る。
泥まみれの腕を消毒して、点滴を打つ。
その後、車の後部座席に、佐藤先生が先に乗り込み、かなちゃんを膝の上に仰向けで寝かせる。
点滴を天井の取手に付けて、体が揺れないようにしっかり持ち、サイレンを鳴らし、安全に急いで車を、走らせた。