Cry for the moon
園庭で遊んでいた小さな女の子が、リュウトの姿を見ると満面の笑みで走ってきて、足元に飛びついた。

「とーちゃん!!」

「ハル…とーちゃんって呼ぶなっていつも言ってんだろ?」

やれやれと苦笑いをしながら、リュウトは足元にしがみつくハルの頭を撫でる。

「せめて、にいちゃんにしてくれ。」

いつものやり取りを、保育士たちが笑って見ている。

「帰るぞ。用意してきな。」

「うん、とーちゃん!」

「だから…。」

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