消えてくれない

ごめんなさい


アキから連絡があった日から、私達は毎日電話で話している。

毎日話しているうちに、アキへの想いがどんどん膨らんでいった。

「今仕事終わったぁ」

「お疲れ様
今日はお客さん多かった?」

「今日はそうでもなかったかな?
今日シャンプーのやり方お客さんさんに褒められてさ、めっちゃ嬉しかったんだよなー」

「よかったじゃん!」

「スミレは?
どうだった?」

「ずっとパソコンで音源編集やってた。
もう肩バリッバリだよ笑」

「年寄りみたいだな笑」

「そんなこと言ったらアキだって、おっさんじゃん笑」

「俺はスミレと違うんだよ」

「なんだそれ笑」

アキと話しているとキャッチが入った。

「ごめん!
キャッチ入ったから一回切る。」

「了解」

アキとの電話を切って慌ててでる。


「もしもし、スミレ?」

「うん。」

リクからの電話だった。

そういえば最近リクに会ってないな...

「リクも仕事終わったの?」

「今終わったとこ。
あのさ、今から少し会えない?」

「今から?
うん...。少しなら出れると思う。」

「スミレの家の近くまで着いたらまた連絡する。」

「うん。
気をつけてね?」

リク...
どうしたんだろう...

アキに今日はもう電話が出来ないことを伝えて、ジーンズとニットを着てリクから連絡がくるのを待った。

「着いたよ」

スマホと財布を持って外に出ると、家の近くの自動販売機の前にリクの車が停まっていた。

「お待たせ。
リクどうしたの?」

『‼︎‼︎』

私はリクに抱きしめられていた。

「リ ク...?」

「ごめん
なんか急にスミレに会いたくなって...
最近会ってなかったしな!^ ^」

リクは私を話して明るい声で話した。

「そうだったね。
ほんと、リクの車に乗るのも久しぶりだな^ ^」

「仕事はどう?」

「うーん。
毎回緊張する。
でも、凄く楽しいよ
やりがいも感じるし。」

「そっか。
まぁ、仕事は楽しく出来るのが一番だよ。」

それからリクと1時間ぐらい話した。

「そろそろ帰ったほうがいいよな?」

「そうだね。
リクも明日仕事でしょ?」

「うん。
ちょっと充電していい?」

「充電?笑」

「そ。」

そう言うとリクの顔がだんだん近づいて来た。

私はゆっくり目を閉じようした。

でもその瞬間アキの顔が目の前をチラついた。

「まっ んっ!」

『私...
今拒もうとした。
私とリクは付き合ってるのに。
キスをしてるのに...
アキの顔が消えない。』

「ん...あっ り
んっ」

いつもだったらやめているはずのキスが今日は長い。

リクの胸を少し押すと、ゆっくりリクが離れた。

「リク?」

「...
よしっ!
充電出来た^ ^
ありがとな。」

「うん...
じゃあまた明日ね?」

「おやすみ」

ベッドに座ってリクの事を考えていた。

『リクどうしたの?
いつもは凄く優しいのに、今日はなんか乱暴だった...

もしかして私の気持ちに気付いてる?」


「今日、飯行かない?」

仕事が終わる30分まえにリクからラインが来た。

「OK♪」


「今日はどこに行くの?」

「そうだなぁ
居酒屋に行こうか。」

「いいねー
ビールと唐揚げ!」

「おっさんかよ笑」

リクはいつも通り笑顔で、昨日の表情は見間違いなのかと思うぐらいだった。

「「乾杯‼︎」」

「ぷはー!」

「もうちょっと可愛いらしい声出せよ笑」

「だって今更じゃん笑」

いつものように食べていく。

するとリクが箸を置いた。

「ん?
もうお腹いっぱいなの?」

リクは何も言わずに下を向いていた。

「リク?」

しばらく黙った後、顔を上げた。

「スミレ




別れよう。」

「え?」

リクの言っていることが一瞬理解できなかった。

「え?なんで?
私のこと嫌いになった?」

「違う!
そうじゃない...
ただ、最近スミレが遠いんだ...。」

「...」

何も言えなかった。

『私のせいだ。
アキに対する想いに、リクは気づいてたんだ...
だから昨日だって。』

「ごめんなさい。」

「なんでスミレが謝るんだよ。
俺がスミレの事を振ってるんだぞ?」

「でも!」

「ごめんな。
俺から告っといて...。」

必死で首を振った。

「楽しかった!
リクと付き合えて、すごく幸せだった!」

「俺もだよ。
ありがとな^ ^」

初めてあったときのような優しい笑顔で笑ってくれた。

「リク、最後に私に奢らせてよ」

「振られたやつがおごるのか?笑」

「そう!
振った人は大人しく奢られといて。」

「分かった。
ありがとう。」


リクは初めて会った時から別れる時まで優しかった...

大人で、気遣いもできて、
こんな私にはもったいない人だった。

リクと付き合えて本当に幸せだった。

人に想われるとこんなに幸せなんだって、知ることができた。

私はリクに愛されてた。

私は少しでもその愛を返せたのかな...

ごめんね、リク。

次付き合う人は私みたいな人じゃない人にしてね。

ごめんなさい。
ありがとう

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