消えてくれない
ピリオド

「向こうの人達、いい人だったらいいね」

「そうだな。
向こうめっちゃ寒いらしいんだよ笑」

「マジで?
雪降る?」

「積もるらしい笑」

「マジで?!
いいなぁ
楽しそう♪」

「雪積もったらテンション上がるよな笑」

「めちゃくちゃ上がる!笑」


アキはもうすぐ、他県にある店舗に応援に1ヶ月ぐらい行くことになっている。

アキが遠くに行っても、今の私達の関係は変わることが無いと思っていた



「元気?」

応援に行って2週間がたったぐらいからアキからの連絡が無くなった。

急に連絡が来なくなったことが寂しくて、いてもたってもいられなくてラインを送った。

「元気^ ^
どした?」

お風呂から出るとアキからの返信が来ていた。

「いや、元気かなぁって思って。」

「あーね笑
スミレの方はどう?」

「んー...
普通、かな?」

「なんだそれ笑

あ、俺さ、しばらくこっちに居ようと思ってる。」

『え?
もうすぐ帰って来るんじゃなかったの?』

アキが帰ってくるのをずっとずっと楽しみに待っていたから、それはショックな報告だった。

『もしかして...』

私の予想が外れるのを祈りながら、文字を打っていく。

「え?なんで?」

「こっちの先輩に告白されたんだ。

まだ俺は相手のことが好きではないけど、こんな俺の事を好きでいてくれる人がいるなら、
付き合ってみようって思って。」

私の予想していたことが当たってしまった。

『やっぱりね...
なんだよ。
なんで...
まだ2週間だよ?まだ何にもアキの事を知らない人だよ?

アキの事が大好きで大好きで大好きな人は近くにいたのに...』

後悔した。

後悔して後悔して後悔した。

私がアキに自分の気持ちを伝えなかったから。

アキとの繋がりが切れるのを怖がって告白しなかったからこうなったんだ...。

こんなことになるんだったら、ちゃんと伝えればよかった。



後悔して後悔して後悔した私は、アキと連絡を取るのをやめた。

連絡を取らなければアキへの想いが消えると思ったから。







「それでは新郎新婦に盛大な拍手をお願いいたします!」

MCのコメントと同時にフェーダーを上げる。

ひと段落ついたとき、
メインテーブルで幸せそうに笑う新郎新婦を眺めていた。

『私もいつか、誰かと結婚とかするのかな?』

結婚なんてずっとずっと先の事だと思っていたけど、この仕事を始めてからは、自分が結婚するという事を意識し始めた。

『アキも結婚するの?
誰と?
‼︎‼︎‼︎』

アキの結婚を想像すると怖くなった。

アキの彼女は年上だから、もしかしたらこのまま結婚するかもしれない。

『言わなきゃ...

結果がどうであれ、このまま言わなかったら絶対後悔する。

もう後悔なんかしたくない!」




「アキ久しぶり
明日少し時間あるかな?」

「どうした?」

「アキに話したいことがあるの」

「なんかあったのか⁈

もうすぐ仕事終わるから、終わったら電話する。
待っとけ。」

『え⁈
ちょっとまって?
今日⁈今日なの⁈』

あまりに早い展開にあせった。

心を落ち着かせようと深呼吸をしていると、アキから着信が来た。


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