MAHOU屋
「羊でも数えようか?」
「大丈夫、だよ」


できるならこのまま、レインさまの体温に溺れて永遠の眠りにつきたい。
先に死んでしまえば、誰かがいなくなっても自分は悲しまなくてすむ。


「にぃにずるーい。わたしもいれてー」


むくりと起き上がった様子のソラが、チヒロとレインさまの間に強引に入ってきた。
そして数秒も立たない間に「ぐう」とひとつだけ鼻息を立てて、ソラは寝入ってしまった。


「狭いから、戻るね」
「急にチヒロがいなくなったら、ソラが起きる」


だめと言いながら、レインさまは二人を抱きしめなおした。


なんて、ぼくは、しあわせなんだろう。


また同じ夢を見て、夢の中で違う色の涙を流し、起きる。


いつのまにか朝になっていた。


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