シルビア
「……ん……」
目をさますと、そこは朝陽の差し込む明るい部屋。
冬の朝の冷えた空気が、肌に痛い。
シワだらけの乱れた服に、体には近くの箱にかけてあった白いシーツがかけてある。
抱き合い疲れ眠ってしまい、そのまま朝を迎えたのだろう。固い床に横になっていた体が少し痛い。
「……望……?」
散らばったままのパールのビーズ。それらが光に輝く景色のなか、見渡せどその姿はない。
姿、荷物、気配、なにひとつ痕跡はない。そこで私はようやく、昨夜の彼の涙の意味を知る。
それはきっと私の『好き』に対しての答え。
「……望、」
『さよなら』だ。