ユウウコララマハイル
風呂に入る準備を終え浴室のドアを開ける。
すると床に開封済みの入浴剤の小袋が放置されているのに気づいた。
中村は余ほど忙しかったのだろうか。
パッケージには『天使の休息』と書かれてあった。


「なんだこりゃ、新手の嫌がらせか」


昼間マスターが「ぬいぐるみはまだ?」と訊ねてきたから、もしかしたらそれも中村に伝えていたのかもしれない。


これは『休んでばっかいるんじゃねえよ』という中村のメッセージに違いない。
天使=自分と結びつけるのも安易だとは思うけれど。


浴槽のふたを開けてみる。
『天使の休息』という入浴剤は、ほのかな牛乳の香りがして、色も想像通りの乳白色だった。



< 55 / 137 >

この作品をシェア

pagetop