気まぐれ猫系御曹司に振り回されて
「それならやっぱりこれよね」

 凜香が抜き出したのは、日本人アイドルグループのCDだ。子どもアニメの主題歌も歌っているグループのCDで、そのアニメの主題歌も入っている。

 それを受け取って透也はオーディオにセットした。

「私はキッズ向けのCDとかよく聴くよ。どういうのが流行っているのかなって。〝アナと雪の女王〟は成実ちゃんと映画館に観に行ったし、成樹くんとは〝クレヨンしんちゃん〟とか〝ドラえもん〟の映画も見に行くよ」
「自分の子どもじゃないのに面倒見がいいんだね」

 透也は言ってシートベルトを締め、凜香が締めるのを待ってアクセルを踏んだ。車がゆっくりと走り出す。

「面倒見がいいっていうか……」

 凜香が言葉を切った。緑が生い茂る公園とそのそばの池に別れを告げ、車は国道へと向かう。

「明日……筋肉痛になるかもね」

 凜香がボソッと言った。透也がチラッと視線を送ると、彼女の横顔は何か考え込んでいるようだ。

「疲れた?」
「そうね」
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