気まぐれ猫系御曹司に振り回されて
「そうだな、企画会議を開こうか。人数分コピーしろ」
「あ、ありがとうございます!」

 透也の横顔がパッと輝き、凜香はホッと胸を撫で下ろした。ソーラーカーもラジコンカーもエデュトイ・パブリッシングでまだ取り上げたことはない。ソーラーラジコンカーなら太陽光発電の仕組みも勉強でき、ラジコンカー作りも楽しめる。

(その企画ならきっと通るよ)

 そして透也にとって大きな自信になるはずだ。


 そうしてその日の午前中に行なわれた企画会議では、凜香の予想通りソーラーラジコンカーの企画の採用が決定した。凜香は午後から別の企画でメーカーと打ち合わせがあったため、企画会議のあとは透也と顔を合わせることなく、直帰した。

「はあ」

 マンションの部屋に入ってパンプスを脱ぎ、ベッドにごろんと横になる。

(こんな気分のときはトリュフを食べよう)

 そう思うのに、起き上がって戸棚に行く気力が出ない。凜香に男性経験がないことを知って、透也がどう思ったのか、今日の彼の様子からは結局わからなかった。

(でも、もう答えは出てるじゃない。彼みたいに付き合う女性に困らない人が、いまだに処女の私を本気で欲しいなんて思うわけが……)
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