(仮) 約束。
歩いていると見覚えのある姿が……。
初めて見る制服だけど、あの肌の色とスタイル……。
ちらっと見えた横顔があたしの中のある人の記憶を思い出す。
け、慶斗さん……?
慶斗さんらしき人も友だちと出入口に向かっていた。
まさか、慶斗さんに会えるなんて。
もう会えないと思っていたのに!
偶然すぎるよ!
次も偶然、があるか分からないし、話しかけておくべきだよね……?
あたしが考えている間にも慶斗さんとの距離は離れている。
「雪菜ちゃん、どうかした?」
立ち止まってしまったあたしを不思議そうに見つめる由菜。
「由菜、ちょっと待ってて!」
あたしは由菜にそう言い、慶斗さんのところへ走った。
慶斗さんの後ろに立ち、髪の毛を整える。
緊張、するなぁ……。
でも、ここで頑張らなきゃ会えなくなっちゃうかもしれない。
そんなのは、嫌だ!
軽く深呼吸して口を開く。
「……け、慶斗さん!」