(仮) 約束。
偶然、
あれから一度も慶斗さんに会えない。
確かに学校も違うし、あの時みたいに運良くぶつかるなんてありえない。
「はぁ……。」
学校にいても慶斗さんの事を考えるとため息出ちゃうよ……。
「雪菜ちゃん、何かあった?」
話しかけてきたのは友だちの由菜。
「ううん、なんでもない!」
「それなら、早くいこ!
鯛焼きなくなっちゃうよ!!」
今日は由菜とショッピングモール内の黄金鯛焼きを食べに行く約束をしている。
月に一週間だけ限定発売される鯛焼き。
前にも食べに行こうとしたんだけど、
売り切れちゃってたんだよね。
学校を出て電車に乗ってショッピングモールの最寄り駅まで行く。
鯛焼き屋はそんなに並んでいなくて鯛焼きも買えた。
「やっとだ!早く食べよ!!」
フードコートの一席で鯛焼きを頬張る。
「美味しい!」
初めて食べるけどとても美味しかった。
由菜なんて持ち帰るようも買ってるし。
鯛焼きを食べてからは喋ったりプリ撮ったりぶらぶらして時間が経っていた。
「雪菜ちゃん、あたし帰らなきゃ!」
時計の針は6時を指していた。
由菜の家って門限あったんだよね……。
「帰ろっか!」
あたしがそう言って入口に向かって由菜と歩いていた。