(仮) 約束。
「雪菜の気になってるオトコ誰ー!!」
陽菜がマイク越しに話す。
あたしの気になってるオトコって……。
「内緒!」
あたしもマイク越しに陽菜にそう言った。
まだ言わないって決めたから。
「陽菜ちゃんも雪菜ちゃんも外に聞こえちゃうよ!」
その間、由菜はずっと笑っていた。
慶斗さんを見たことある由菜はあれから聞いてこない。
「ケチー!雪菜のケチー!!」
「そんなことしても教えないからね!」
陽菜にそう言い、あたしはトイレに向かった。
トイレはあたしたちの部屋と同じフロアの一番奥のドリンクバーの近く。
トイレを済ませ部屋に戻ろうとした。
だけど、ドリンクバーのところに見覚えのある人。
友だちと一緒にいる。
ちょっと制服を着崩してまくってあるシャツから伸びる腕はまたかっこいい。
「……慶斗さん……?」
気付けばあたしは声をかけていた。