SECOND プリキス!!
「さぁ、そこに座って!」
「あ、はい……。」
灰音と私のテンションの差、100度位。
勧められるままに白地に金色の装飾が施されている猫足の椅子に座る。
「初伊は、そこにいてくれるだけでいいから。」
「ソウデスカ……。」
「暇になるようだったら、適当に北の野郎共連れてくるけどどうする?」
「え、えっと、お気になさらず?」
「ん。」
トントン拍子に進んでいく話。
何がなんだか分からないまま座らされ、気がつけばスケッチブックを持った灰音が私を見て一心不乱にペンを動かしていた。
「は、灰音。」
「……。」
だめだ、聞いちゃいねぇ!
集中しているからか、話しかけても一向に返事をしてくれない灰音さん。
状況の理解は諦めたよね。
ただひたすらに椅子に座り続ける。
初めこそは「え、これ、視線とか動かしていいの?瞬きしていいの?」状態だったけれど、慣れてくれば首をキョロキョロさせる事くらいはしてもいい事に気がつく。
真っ赤な薔薇のドライフラワーだとか、白で統一された家具だとか。
私の今の部屋よりは確実に女子力高めだ。
そりゃあ灰音が男子だなんて、言われなきゃ分からないよねぇ。
ニャアオ────
足をプラプラさせ、部屋をチラ見したり考え事(妄想含む☆)をしていたところ、ふと聞こえたのは猫の声だった。
「猫……?」
部屋の外から聞こえた鳴き声。
扉を見れば、ある事に気がついた。
ドアの下の方に、妙に小さな正方形の切れ目がある。
なんだろうとじっとそこを見つめていると、
ピョコン──と。
真っ白い、モフモフの手が急に現れたのだった。