SECOND プリキス!!





部屋を出て、「そーちょー!」と軽い感じで名前を呼びながら階段を昇りゆく連盟の彼。




「いや、待とうって!チェーロちゃんを預ける為だけに総長わざわざ呼び出すとか……!」

「いや、いいんじゃないっすか?あの人なら、女の子がいれば何やってもが許されるっていうか。すなわち無問題。」

「軽くない?!総長の立ち位置、軽すぎない?!」



思わず素で突っ込んでしまうほどの総長の威厳の無さだ。

ここに来た時から、あまりのアットホーム感に何となく感じていたけれど、北校異色にも程がある……と思うのは、私がすっかり“連盟”というものに慣れたせい?

視線で場を凍らせる事は朝飯前な彼ら。

可愛さとか、男前さとか、病み感とかは違ってくるけれど共通する“恐ろしさ”。



「わぁ、初伊じゃないですか。」



今日も前会った時と変わらず、赤いリボンで長めの髪を縛り、ほわほわとした雰囲気を纏う彼───天真先輩からは全く感じられない。

目をきゅっと細めて、ニコニコとしているその姿は人畜無が……




「会えて嬉しいです。」


───チュッ


髪を一束取り、微かにリップ音を立ててそこに口づけられ。

さっきの笑顔とはまるきり違う───背筋がゾッとするような、儚さと色気と何やら黒いものが見え隠れする笑みを浮かべる……。



「〜〜〜〜っ。」


無害じゃない!

全然無害じゃない!!


そういえばこの人は、橘に“連盟一の下衆”と言われる経歴を持つのだった。

下衆かどうかは置いておくとしても、決してただの癒し系ではないらしい。


声にならない悲鳴を上げた私を見て、先輩はクスっと笑った。



「これくらいで真っ赤になっちゃって……貴女は可愛い人ですね?」

「先輩、お願いだから囁くのは止めて下さい……心臓に悪いです!」

「あはは。」



笑い事じゃないです!と。

叫びたいくらいに私の心臓はばっくばく。

ちなみにこれが天真先輩流出会いの挨拶(女子に限る)だと灰音に聞かされ絶望するのは、それからしばらく後の事だ。





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