SECOND プリキス!!
「それで、どうして此処にいるんですか」と先輩は聞く。
「灰音に連行されました」と答える前に、先輩は「あ、分かりました!」と元気よく応えた。
「西巴君に愛想を尽かしたんですね!」
「何故?!」
全然“分かりました”じゃないって!
ヶ
斜め上の先輩の回答に頭を抱える。
そもそも何で恵!
この時、多分私は死にかけのムンク(元々ムンクは死にかけだけど)のような顔をしていたんだろう。
天満先輩は上品に口を抑えて耐えきれないように横を向いた。
……年頃のれでぃに対してはなかなか辛い対応である。
「あの後貴女が選んだのは、西だと思ったんですけどねえ。」
先輩のいうあの後とは勿論、あの恐ろしいメンバー全員と出会ってしまったあの日の事。
恵がヤンデれて、その後何故か三校から「うちにおいでよ」と誘いを受けた日のことだよね。
結局どうしたんですか?と興味深そうに聞いてくる先輩に、私は私の結論を話すことにした。
「何処も選びませんでした。」
「……何処も?」
その答えが意外だったのか、先輩は目を瞬かせる。
「原点に返って、考えてみたんです。」
そもそも……どうして西に行くことになったのか。
それは、最初は“カラスちゃん”を狙う東校から逃げる為。
そしてその後は北校の総長から身を守る為……だったはずだ。
その二つの目的を果たした……というか、ある意味もう果たせなくなってしまった今、“カナ女生”は連盟に行ってもいいのかな。
そうお姉ちゃんに言えば。
「そうね。じゃあもう、生徒会室に来なさいな。どうせ天音と私しかいないわ。」
と言われたけれど……
聖カナン女学院の生徒会なんて、それすなわち陰飛羽の最高権力機関。
死ぬほど場違いすぎるから、取り敢えず普通に帰宅する事にした。
大人しく帰宅部に転身だ。
でも……
「うーいちゃんっ!来たよー開けてー」
「何で東麻がいるのかな。とりあえず滑って転んで死ねばいいのに。」
呼んでないのに不穏な人たちが我が家に来るし。
お兄ちゃんは普通に夜白も連れてくるし、大人だと信じていた夜白はお姉ちゃんと喧嘩という名の冷戦するし。
もしかしたら私、何処かの連盟にいっそお世話になった方が平和に過ごせるんじゃないかと思いつつある今日このごろである。
それを先輩に伝えれば、「じゃあ私も初伊の家に行きますね」と笑顔を浮かべた。
それで脱力して、「何でですか……」と聞けば、愉快犯な顔でこういうのだ。
「色々……楽しいですから。」
……ドS!この人ドSですお巡りさん!