【死選】
彼らは、自殺した生徒のことなど忘れてしまったのだろう


夏の暑い日曜日
教師とその生徒は、海に遊ぶ計画を立てていた


しかもその海は、自殺をした生徒の場所


私は、彼らより先に到着し
いかにして、私の能力により彼らに裁きを下すかを考えていた


彼らが現れた
やはり、自殺した生徒のことなど忘れているようだ


もしかしたら、教師と生徒全員が罪を認め
自殺した生徒のために、線香をあげ、手を合わせることを期待していたが
それも裏切られた


海で騒ぎ立てながら泳ぐ者
砂浜で遊ぶ者
日光浴をする者
教師の方はというと、疲れたのかイビキをかき眠りについている


裁きを下す時は来た


私はまず、海にいる生徒を遠回しに
その顔を見ながら、次々と溺れ死ぬ死を与えた


溺れ苦しむ声が浜辺にも届いたのか
教師がこの事態に気が付いた
海の中に入っていった


今度は、お前の番だ


教師は、溺れている生徒を浜辺に連れて行こうとしている


無駄だ
そいつは助からない


私は、躊躇なく
教師にも、溺れ死ぬ死を与えた


自殺した生徒の苦しみが、理解出来たか!


しかし全員に、死の裁きを与えることは無理であった


教師は死んだ
生徒は7人死んだ
溺れ死んだ


私に警察の捜査が、及ぶ事は決してない


私は、彼らを遠くから見ながら、溺れ死に
私の死と彼らの死を次々と入れ代わっただけなのだから


彼らの死は、ニュースになる程大きく取り上げられた


しかし事故により、海で単に溺れ死んだ
と、読み上げられただけだった

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