「さよなら」って言って?
 
 その後、少し沈黙が続いた。

「私、病室戻るね。看護師にバレちゃうとやばいから。」

星野さんは振り返って、歩き出す。



 「・・・ちょっと待って!」

「えっ?」

俺は無意識に声を出した。

星野さんは、さすがに大きい声にビックリして振り返る。

「俺の病室来いよ。」

「え?」

これは言った俺も「は?」となる。
俺は、焦って言い直した。

「・・・サッカーボール・・・・蹴らしてやるよ。」

「フフッ・・・。」

星野さんは急に笑い出した。

「嘘下手なんだね。いいよ、肩貸してあげる。」

「いや・・・あっ・・・・サンキュウ・・・。」


 そう言うわけじゃなかったけれど・・・。


 まぁ、息切れして戻るよりは・・・。


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