Darkness~暗黒夢~
 オレンジ色の炎が一気に床全体を包み、甘酸っぱい匂いが一気にその香りを解放する。その炎の中で、二人はまだ、愛し合い続けていた。

 これでいい。

 微かに開く舞の唇。

 これでやっと、あなたの“黒い夢”は終わるのね。

 熱と同化する快楽の波が、二人を天上へと舞い上がらせる。室内の全ての物を包んだ炎が天井まで立ち上ぼり、何もかもを消滅させてゆく。

 紅蓮の炎は揺らめきながら全てを黒く染め上げる。今、彼の“黒い夢”が終焉を告げた。永遠(とわ)に――。
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