恋愛ドクター“KJ”
ふしぎな少年

超能力?

 青い‥‥。
 いや、群青色の空が、もう幾日も続いていた。
 7月も上旬といえば梅雨も最中だというのに、燃え盛る太陽には、天も地も焦がす勢いがあった。

≪こんな天気を歓迎するのは、“アフリカゾウ”と“ひまわり”くらいだろうね‥‥≫

 学校へ向かう電車の中で、車窓に浮かぶ風景をボーっと眺めていた男の子は、そう決めつけていた。
 このお話の主人公、速水健一だ。

 健一は、埼玉県は飯能市にある、私立高校に通う2年生だ。
 片道だけで通学に1時間半もの時間が掛かるが、同級生の多くは、さらに遠距離から通っていた。

≪偏差値での生徒評価はしない≫

 その教育理念に共感する親が多いからか、それとも、自由奔放な方針を好んだ生徒たちの判断なのか、入学を希望する個性豊かな子供たちが全国各地から集まっていた。

 もちろん、通えないほど遠県出身の生徒たちは、校舎の隣に設けられた寮で暮すことになる。
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