恋愛ドクター“KJ”

揺れる心

 人の感情を揺り動かすことで、間接的に、人の行動までもコントロールできるものなのか? 
 アスカにとっては信じられない話だが、現に、ジャンケン・ゲイムではアスカはコントロールされてしまった。
 KJの説明を聞いているうちに、心を見透かされている‥‥と思えたアスカは、KJに対し、言葉にできない恐怖を感じた

 「まあ、いきなり言われても、理解できないかもね」
 KJは、やさしい口調を崩すことなく、そういった。
 そして、
 「それからね、2回目のジャンケン・ゲイムも3回目でも、僕がアスカを動かしたんだ。
 決して難しいことじゃないよ」
 と、続けた。
 黙って聞いていれば、きっと、どうやってアスカの感情を刺激し、その結果として勝負を決めたのかを、理路整然と語るに違いなかった。

 「もういい。もういいわよっ!」
 アスカはKJの話をさえぎった。聞きたいような、聞きたくないような、自分でも自分の気持ちが分らなくなっていた。

 アスカの気持ちを察したのか、KJは、ジャンケン・ゲイムではなく、別の話題に切り替えた。
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