恋愛ドクター“KJ”

多数決理論

 ジャンケン・ゲイムで勝つことも、多数決の結果を左右することも、心理学の応用で可能なのだとKJは説明した。
 最初は、
 ≪何かトリックを使っているのだろう‥‥≫
 と信じていたアスカだが、その説明を聞いているうちに、きちんとした方法論に則った作戦を用いることで、ジャンケンや多数決をコントロールすることは、決して不可能な話ではないと感じ始めていた。

 「話は分るけど、でも、100%の確率で多数決をコントロールするっていうのは、チョッとムリだろ。100%だぜ、100%」
 アスカ同様にKJの説明には納得した一也だが、“100%”というところに引っ掛かりがあるらしい。

 「そうよね。100%ってことはありえないでしょ」
 アスカも同じことを言った。

 「ぜったいに100%かっていうと、それを証明しなければダメだけど、僕が過去に10回以上ためした限りでは、1度もコントロールを失敗したことは無いよ。
 だから、僕の知る限りでは、100%なんだ」
 KJは自信に満ちた口調で答えた。
 もっとも、KJは、いつも自信に満ちたというか、淡々とした表情で話をする。

 「あれ? そういえば、3年前の、修学旅行の行き先を決めたときのホームルームってヘンだったな。
 そうだよ、あのときのホームルームはヘンだったよ。
 思い出したぞ。あれはヘンだよ。
 そういうことなのか、KJ!」
 突然、一也が叫んだ。

 「なに? なんなの? 説明してよ」
 アスカが一也に迫った。



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