君の隣
離れられない運命?





江戸に戻ると、高杉に呼ばれた。




高杉「お前がいるところは、いつも騒がしいな。」



そう言って頭を撫でられる。



桂さんから聞いたのだろう。



高杉「お前に、話がある。俺は、萩へ帰る。お前も付いて来い。」


なつ「え?」


こんな誘い方いつもしないのに・・・。



なつ「どうして?」



高杉「安さんの所へは行くな。」



なつ「知ってたの?」



高杉「あぁ・・・。本人から聞いた。アイツと夫婦になるのか?」



なつ「な・・・っ。なんで高杉に答えなきゃいけないの?関係ないでしょう?」



すると、高杉は、ジリジリと私の近くへ来る。


あまりにも近くて後ろへ下がると、その分、高杉は、また近づく。



それを繰り返すと、背中に壁が当たる。



なんで追い詰められてるの?



すると・・・。




トン・・・。



高杉の腕が、私の耳の横に置かれる。



そして、顎を掴まれて、上を向かされる。



高杉の顔が、近づく。




接吻される?




すると・・・。



高杉「関係ならある・・・。お前は、政で俺を支えると言った。それは、嘘か?」



なつ「違うよ!私は高杉を支えるよ?」



高杉「だったら、早く返事しろ。何でその場で断らないんだ。だから、お前は尻軽なんだ!」



なつ「なっ!高杉に言われなくても返事するわよっ!別に高杉には関係ないっ!」




高杉「お前と、萩へ戻るから、予定を立てるんだ。万が一、お前が求婚を受け入れたら予定が狂うだろ!」



なつ「え?何で?」



高杉「良いからお前は、俺と帰れ!」



なつ「だったら、私、京に行きたい。」



高杉「京?」


なつ「うん、だから、途中まででいい?」



高杉「京って何で?」


なつ「稔麿さん、京にいるでしょ?会いに行こうかなって・・・。」



高杉「この尻軽っ!」


なつ「何で、稔麿さんに会いに行くのが尻軽なのよっ!しかも、何で、高杉に尻軽って言われなきゃいけないの!?」



安さん「相変わらず、仲が良いね。」



なつ「え?」



振り向くと、安さんがいた。



なつ「どうして?」



約束とかしてないのに・・・。




高杉「俺が、呼んだ。早く断れ。」



なつ「何で、高杉が勝手にそんな事するの!?」



安さん「おなつちゃん。この間の返事を聞かせてくれるって・・・。」



高杉の奴、勝手なことを。



イライラする気持ちを抑えて、私は、頭を下げた。




なつ「あの・・・。すみません!私、やっぱり無理です!ごめんなさい!」



安さん「何がダメなのかな?」



なつ「私には・・・。志があります。嫁に行くとそれが出来なくなります。」



安さん「それは、どんな事?」



なつ「ま・・・。政に関わりたいんです!だから、家に入る事が出来ません!」



安さん「そんな事か!良いよ!俺の家は・・・。というか、俺にはもう親兄弟はいない。天涯孤独だ。だからおなつちゃんがしたいことをすればいい。」



なつ「え?」



安さん「それなら、断りの理由にならないよ?君の志を応援する。」



なつ「え?」




そんな事を言われるの初めてだ。




断る理由はあるけど・・・。好きな人がいるとか言えない。




それでも良いって言ってくれそうだし・・・。どうしよう・・・。と考えていると、




パシン!



頭を叩かれた。



高杉「お前・・・。ちゃんと言え!」


なつ「へ?」



何を?




すると、高杉が私を抱き寄せた。



高杉「コイツは、俺の妾だ!」


妾!?



何それ!?と言おうとした瞬間、



接吻された・・・。




ダメなのに・・・。




そして、顔をギュッと高杉の胸に押しやられた。




安さん「おなつちゃん・・・。妾なんて・・・。本当にいいの?」


私は、無意識にコクコクと首を縦に振っていた。




すると、安さんは、「元気でね。」と言い残し去っていった。






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