竜王華伝 (完)

桃葉side

*桃葉side*

「俺が、引き留めていたら。美森は、死ななかったはずなんだ。
好き、だったんだよ!
まだ伝えてなかった…。美森は飛んだ。空に、羽ばたいたんだよ。」

郁。いくっ!!郁っ!

「もういいよ」

「俺が!俺が、あと一歩早かったら、美森の手を掴むことができたんだ!」

「郁!」

「美森が、なにしたって言うんだよ!
俺は、自分の気持ちも伝えられずに!!!!
好きな子一人守れなかったんだ!!」

「郁!もうやめてっ!!!もういいっ!」

あたしは、郁に抱きついた。

じゃないと、郁が止まらない気がして。

失っちゃうんじゃないかって思って。

“好き”なのかは分からないけど。

“守りたい”そう思うの。
< 280 / 628 >

この作品をシェア

pagetop