竜王華伝 (完)

でも、口に出せない。

俺が、こんなこといっていいの?

「林。泣くな。」

…え、?

泣いて、?

そっと、頬に手をやると…濡れていた。

なんで?

泣いてんの?

俺、ダサいな。本当に。


「林、お前はどうしたい、」

「お、れ…は。」


「お前が望むなら、俺は力を貸す。

お前が殺してって頼むなら、俺は殺すよ。」


それぐらい、大切な弟だから。


そう付け加えた。

カッコよすぎる、だろ。

「……一人は…嫌だ。」


「ああ。」


「アイツと…離れたい」

戻りたいっ。

掠れてでなかったけど、竜二は頭を撫でてくれた。

…安心して。

疲れた。
< 570 / 628 >

この作品をシェア

pagetop