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第1章
第1章 「終わりと始まりの日」

「魔獣が...魔獣が降りて来た」
彼女がそう告げた瞬間突然空が真紅の色に染まった。
人々が悲鳴と共に逃げ惑っている
「僕たちも逃げなきゃ!!」
怖がりな僕はいち早くその場から離れたかった。でも彼女をほっていく訳にはいかない。
「ごめん。ゼウス。私はいいからゼウスは逃げて。アイツが来たでしょ...勝ち目はないよ...。ましては私は...とりあえずゼウスだけでも助かって!!」
彼女は泣きながらそう言う。
「そんなの!無理に決まってるだろ!」
弱虫な僕は泣きながらそう言った。
地響きのような足音がだんだんこっちに近づいて来る。このまま逃げなかったらどうなるだろう。足音が近づくにつれ僕の絶望感も大きくなる。
「ゼウス!はやく!今なら間に合うかも知れない!はやく逃げて!」
「お前を置いて逃げられるかよ!!お前は...俺の...俺のたい...」
ゴォォォと言う地響きに僕の言葉は遮られた
「ゼウス...ごめんね...私...私...この足じゃ...ゼウス...ごめん...ごめん...」
「違う!お前は...ルイカは悪くないんだ!悪いのは僕で...その...ごめん!」
3年前、魔獣が空から降りた。
当時僕はまだ9歳で家族と一緒に逃げていた。そしたら魔獣と鉢合わせして父親は母親をかばって死に、母親は僕をかばって死んだ。母親は死ぬ間際僕に逃げろと言った。呆気に取られたまま何もできず泣きながらうずくまっていた。もう終わりだ。短い。短すぎるよ。僕の人生は...
魔獣が僕に向かって爪を振り下ろそうとした瞬間、するはずのない金属音がした。恐る恐る顔を上げるとそこには見知らぬ少女が立っていた。魔獣を弾いたのだ。どう見ても僕と同じくらいの年齢でそんな力があるとは思えなかった。
―1つの考えを除けばね―
「ま、まさか...」
おそらく彼女は3000年前に滅びたとされる"魔人"の1人だろう。滅びたと言われていても今のを見たらそう言わざるを得ないだろう。
「大丈夫?悠ちゃん。」
魔人は人違いをしてるのか?僕の事を『悠ちゃん』と言った。僕の名はゼウス・ユースチアだとゆうのに。
そんな事を考えてるうちに魔獣が体勢を立て直してまたこっちに向かって来ている。
「逃げて!悠ちゃん!ここは私がなんとかするから!」
彼女の言う通り僕は逃げた。怖かったんだ。
「もっと早く走って!...............ゔっ」
魔獣は彼女がよそ見をしているときに爪を足に貫通させた。彼女の足は回復魔法がもう効かないほど壊れてしまっていてもう動かないらしい。
「僕はっ!僕はどうしたらいいんだよっ!」
気づいたら彼女の元へ走っていた。
魔獣が攻撃してくる...攻撃されたら...僕も...彼女も...
その時だ。
「大丈夫かお前らー!!!!!」
魔獣の前でうずくまっている彼女と僕を見知らぬおじさんがすごい速さで走ってきて僕たちを抱きかかえて逃げてくれた。おかげで助かった。
そして魔獣は帰って行き、僕達はそのおじさんに引き取られる事になった。
...僕は3年前彼女に助けてもらったのだ。
だから多分今度は僕がルイカを助ける番だろう。僕のせいで失った足は戻らないのだ。僕がルイカの足にならなければ。
「悠ちゃん...聞いて...私ね...魔人なの。皆は3000年前に滅びた。私とたった1人を除いてはね。3年私はゼウスを助けた。偶然じゃない。私は魔人。悠ちゃんあなたも魔人よ。」
訳がわからない。僕が魔人だと?!ありえない!!しかも悠ちゃん?!誰の事を言ってるんだよ!あの時と同じじゃないか!
「悠ちゃんよく聞いて、悠ちゃんが逃げないとゆうのなら最後の手段よ。私の命は時期消える。だからあの魔獣をどうか倒して。」
「命が消える?そんな訳ないだろ!!」
ドォォォン!!
家が勢いよく崩れた。遅かったようだ
言うまでもない。魔獣だ。
「悠ちゃん!!」
「あ...」
また...爪が振り下ろされる...終わった。
僕は目をつむった。死を覚悟した。
...............爪が下りてこない...?
ゆっくり目を開けた...。
「ルイカ?!!」
ルイカが僕の代わりに爪の餌食になっていたのだ。爪は心臓を貫いてルイカの口からは血が出ていた。僕の頭は真っ白になった。ルイカとの楽しかった思い出、嬉しかった思い出、色んな思い出が脳裏を横切った。
「やっぱダメだ僕。ダメダメだ...。」
涙が止まらない。魔獣は強い。魔人が1万人いようと勝てるかどうかわからないようなもの。怪物だ。
ルイカは最期の力を振り絞って何かを言おうとしている。
「ゆ...ちゃん............わた...しの.........ま...りょ...く.........を.........どうか.........つ...かって...」
「ルイカ?!おい!大丈夫か?!?悠ちゃん?魔力?!なんのことだよ?!」
「ゆ...ちゃ...ん、い...え、ゼ...ウス...、いずれ...わかる...わ...。あ...なた...の事...よ.....」
ルイカはいい終えた瞬間、なにか光の束のようなものを僕に向かって放った。それは僕の体に当たって消えた。そして.........ルイカは...息絶えた。
「いずれわかる...?僕がゆうちゃん...?」
泣きながら考えた。次に失うのはなんだ、と。それはきっと.........僕は魔獣が許せなかった。大切なルイカを......僕は...なにもできなかった...悔しい...僕の心に芽生えた感情はただ一つ..、
それは..."殺意"...。
僕は目の前にいる魔獣を倒さなければ。
復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐...復讐..復讐...復讐..............................

気づいたら僕は魔獣を倒していた。
僕の体は魔獣の返り血で真っ赤だった...。
ルイカが言っていた『魔力』と『悠ちゃん』の謎はまだわからない。ただ『悠ちゃん』と呼ばれても違和感はなかった。何故か昔に呼ばれていたような親近感が沸くのだ...わからない...ダメだ...眠い。ルイカ......。これから僕の人生は始まって行くのだろうか...。
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