恋する淑女は、会議室で夢を見る


 
 ―― 氷室先輩のキス


多分それは
突然オオカミに変身するみたいんじゃなくて 

小説で読んだり、映画に見るみたいに
いつの間にか包みこまれるような、甘い大人のキスだったんだろう…


  … おい

 「おーい 青木真優さん」



ハッとして顔をあげると、呆れた顔をした氷室先輩が
真優を見下ろしながら腕を組んで立っていた。


「あ… す、すいません
 なんですか」

「なんですかじゃねーよ

 もう10回くらい呼んだんだぞ
 印刷屋が来たから、会議室で打合せ」


「はい!

  …すいません」




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